あべこべの世界
「うん。じゃあそうしよう」

 わたしは自分の手を孝志の手の上に重ねた。

「ねえ、手を繋いで」

 うん、孝志はくるりと手の平を返し、下からわたしの手を握りしめた。



 孝志は変っていない。



 わたしは孝志の手を握り返した。

 世界は変ってしまったけれど、みんな変ってしまったけれど、孝志だけは変っていない。

 前と同じようにわたしに優しく、大切にしてくれる。 

「ねえ、孝志、もしわたしがみっともないくらい不細工な女だったらどうする?」

 孝志はそんなの想像出来ないよと笑いながらもうーんと首をかしげる。

「それでもおいなりさんと甘い卵焼きを作ってくれる?」

 孝志はすぐに答えた。

「うん。作るよ」

 わたしは心の中で呟く。

 そうよね….作ってくれてたんだもんね。

 ごめんね、孝志。

 少しでもあなたが健二みたいにイケメンだったらなんて思ってしまったわたしを許してね。
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