あべこべの世界
 マンションに戻るとわたしの部屋のドアにビニール袋がかけられていた。

 孝志と顔を合わせる。

 袋の中にはウコンと胃腸薬。

 折り畳まれたメモには、

 飲み過ぎ、浮気はほどほどに。あ

 と書かれていてわたしは慌ててメモを握りつぶした。

 孝志はわたしのその様子には全く気づいてないようで、

「あ、スーパーウコンの方だ」

 と袋の中身に興味津々だ。

 失っていた昨夜の記憶が蘇ってくる。

 そういえば酔ってマンションの階段に座って寝ていたのを朝子さんに発見され、部屋まで連れてきてもらった。

 と思う。

「朝子さん?」

 メモを握りつぶしたわたしの手のうちがほっこりと温かくなる。

「うん」

 うなずいたわたしの胸の真ん中にそのほっこりが移動する。

 ここにも変らない人がいる。

「さ!早く夕食の支度をしよう!」

 わたしは声を弾ませた。
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