凪ぐ湖面のように
「まずは、ランチを共に過ごそう、もう、腹が減ってペコペコだ」

ランチ? スマホの時計を見る。
三時! ワープしたみたいに時間が過ぎていた。

「それは無理かな」
「どうして!」

ムッとする湖陽さんに、「時間的に」と言い、「アイドルタイムじゃない?」と時計を指す。

「もっと空腹にして、ディナーを豪快に頂きましょう!」と提案する私に「乗った!」と湖陽さんが笑う。

そして、どうせならシーフードが美味しい店で食べたいね、とスマホで検索する。

頭を付き合わせ、二人で一つの画面を見ながらワイワイ言い合う。こんな些細な事が楽しくてしょうがない。

この地に降り立った時、こんな時間を湖陽さんと過ごせるとは思ってもいなかった。

「岬……」

名前を呼ばれ、湖陽さんに視線を向ける。
意外に近くにあった彼の顔に、凄くドキドキする。

「僕たちこれから本物の恋をしよう」

瞳と瞳が絡み合い彼が優しく笑う。
その笑みに誘われるように、「うん」と素直な言葉が溢れる。

「岬、好きだよ」

彼の唇がソッと近付き、軽く私の唇に触れ、離れる。
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