凪ぐ湖面のように
「こんな場所でこんなことしていると、外国人みたい」

照れるように言うと、湖陽さんが笑う。

「この国じゃ、僕たちの方が外国人じゃない」

そう言えば……。

クスクス笑いながら、湖陽さんは、「本当、岬と居ると飽きないな」とまたキスをする。

公衆の面前で、と思うが、異国の地だからできること。
啄ばむようなキスを繰り返し、私たちは微笑み合う。

「日本ならバカップルもいいところだな」

そんな事を言いながらも、キスをする湖陽さんに言う。

「私だって、こんな大胆な事をするのは初めてです」
「このロケーションがそうさせるのかな」

二人揃って辺りを見渡す。
確かに! どのカップルも密着度が半端ない。

「僕たちも、あんな濃厚なシーンやってみる?」と湖陽さんが顎で指した先には、ガッツリ抱き合い、濃厚なキスを交わすカップル。

「無理!」

私の返事に湖陽さんはクスッと笑い、「残念」と呟く。

「でも、いつかはやってみようね、あんなの」

本気なのか冗談なのか、湖陽さんは私の肩を抱き言う。
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