凪ぐ湖面のように
だからと言って、侘び寂びを感じ、行間を読むが如く人間の機微を悟る日本人の心を大切にしたい、と思うのは悪いことだろうか……?

「そうですよね……」

理性は、余計なことを言うなと必死に止めるが、感情が言うことを聞かない。

「湖陽さんと私は夫婦ではないのですから、“あうんの呼吸”は存在しませんね」

キッと彼をひと睨みして、「言いたいことがあるのですよね、なんでもどうぞ」と、ピラフをひと匙すくって口に入れる。

悔しいけど、美味しい。キノコとガーリックの香りに芳ばしい醤油の香り加わり、口内から鼻腔に抜ける。後を引く美味しさだ!

一瞬、湖陽さんの存在を忘れ、もう一口、もう一口と皿のピラフを口に運ぶ。

「君って本当に……」

呆れ眼の湖陽さんがいきなり腕を伸ばして私の口元に触れる。
「ご飯粒つけて、子供みたいだね」と、その米粒をパクリと口に入れてしまった。

食べた! ビックリ眼で思う。
私が子供なら、貴方はお母さんみたいですね……と。
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