ひとはだの効能
「今日だって勇気出して自分から誘ってさ。莉乃ちゃんは君のためにこんなに頑張ってるのに、この期に及んで葉月くんはまだ莉乃ちゃんが先に言い出すのを待つの?」

「俺、そんなつもりはっ……」

 膝の上でぐっとこぶしを握りしめる葉月くんの肩にそっと手を置く。意地っ張りな葉月くんを煽るのはそろそろ止めにするか。でもそうだな、あともう少し。

「ぼやぼやしてたら、他の子に掻っ攫われちゃうよ。莉乃ちゃんうちの常連さんたちにもとっても人気あるんだ」

 葉月くんの耳元に顔を寄せ、最後にもう一つ爆弾を投下して、邪魔者は退散することにした。


 しばらく時間を置いて、食事を終えた二人にラストのデザートを運ぶ。

 莉乃ちゃんの左手には、小さな石が埋め込まれたリングがきらりと輝いていた。

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