ひとはだの効能
「大丈夫、もう菅井さんとのことは俺の勘違いだってわかったし。……だから香澄さんも、俺と祈ちゃんのこと信じて」

「……わかった。信じる」

 強い眼差しで、俺を見上げる香澄さんを、もう一度腕の中に抱き寄せた。

「愛してるよ、香澄さん」

 彼女への愛しさで身体中が満ちて、唇から言葉が溢れて行く。

 でも、まだ足りない。俺は後悔しているんだ、この遠回りしてきた日々を。

 そして、この渇望を満たすのは、きっと……。


「香澄さん、俺のうちに行こう。……あの夜から全部やり直したいんだ」 


 ああ、どうか、香澄さんも同じ気持ちでいてくれますように。

 そう願いながら、俺は彼女の手を取りPregareをあとにした。


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