ひとはだの効能
 ……やっとだ。やっと香澄さんの本心が聞けた。

 胸の中にじわじわと温かなものが広がってく。

「俺に菅井さんとの仲を疑われたくなかったから、披露宴を抜け出して来たの? 二次会の幹事役もほっぽり出して?」

 香澄さんの答えに気を良くしていつもの調子を取り戻した俺は、からかうように香澄さんの顔を横からのぞき込んだ。

「それは違う。ほっぽり出してはない!! 最初の乾杯まではいて、後は菅井に頼んでき……あっ」

「ふうん、結局あとのことは菅井さんに頼んだんだ」
 
 再び菅井さんの名前が出て、俺が拗ねたことに気づいたんだろう。香澄さんは両手で口元を押さえた。

「……他に頼める人がいなかったのよ。ごめんなさい」

 結局香澄さんも、菅井さんのことを頼りにしてるってことか。確かに面白くはないけど、今はもう、香澄さんの菅井さんへの感情は、俺が案じていたものとは違うのだとはっきりわかる。


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