ひとはだの効能
「うるさいな。意外と趣味が合うんだよ、俺たち」

「……そうですね」

 ね、と俺に意味ありげな視線を送る菅井さんに苦笑まじりに頷き返す。

「車こっちに持って来るから、岸川はここで待ってて」

「はーい、よろしく」

「遊馬くん、コーヒーごちそうさま」

「ありがとうございました。お気をつけて」

 先に駐車場へと向かう菅井さんに手を振っていると、香澄さんがくるりとこちらに向き直った。

「それじゃ遊馬くん、行ってくるね。今日はそんなに遅くならないと思うから」

 誰も見ていないことを確認して、そっと香澄さんの腰を抱き寄せる。

「ちょっと、遊馬くん……」

 ドアと植え込みの間の死角に入り、前髪をかき分け額にそっとキスを落とすと、香澄さんは頬を赤らめた。

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