ひとはだの効能
 コンビニのある通りから、車は入ることのできない細い路地に入り、坂道を上る。周りを民家に囲まれた場所に、かつては祖母の――今は俺の家がある。

 木造の、くたびれた日本家屋。引っ越す前に少し手は入れたけど、古いだけに戸の立て付けは悪いし、歩けば床は軋む。

 しかし祖母との思い出が残る、俺には大切な家だった。

「へえ、案外綺麗にしてるのね」
「まあ、ほとんど寝に帰るだけだしね」

 店をはじめてからは予想以上の忙しいさで、家では満足に食事も作らない。店で適当に食べて帰るか、コンビニで弁当を買って帰ることもある。

「そこ座ってて」

 居間として使っていた部屋は、畳を剥いでフローリングにし、ローテーブルとソファを置いている。

「すごい! 大っきなテレビ!!」

 テーブルを挟んだ向かいには、50インチの大型テレビを置いた。
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