ひとはだの効能
 つまみになりそうなスナック菓子やミックスナッツを取り出して、テーブルの上に置く。コロナの瓶を片手に、香澄さんの隣に腰を下ろした。

「とりあえず乾杯しよっか」

 壁の時計を見ると、0時まであと一時間足らず。ハッピーバースデーの乾杯は、もうしばらくお預けだ。

「なにに乾杯する?」
「そうね……なかなかに波乱万丈だったけど、それなりに頑張った二十代の私に」
「オッケー。何事にも全力で走り抜いた二十代の香澄さんに」

「乾杯!」と二人で声を上げ、コロナの瓶を重ねた。お互いほぼ一息で瓶の中身を飲み干す。全て空けてしまうと、香澄さんは満足そうに微笑んだ。

「おいしい」
「おかわり持ってくる」

 清々しいほどの呑みっぷりに気分を良くして、二本目を取りに行く。

 居間に戻ると、香澄さんは両膝に顔を埋め、再び映画に集中していた。
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