ひとはだの効能
 鼻歌まじりで店のディスプレイを考えていると、三人連れの中年の女性客が入って来た。

「……いらっしゃいませ!」

 慌てて席へ案内すると、いつもはモーニングに来る近所のおじいちゃんが、続けて高校生同士の初々しいカップルが店内を窺うようにして入って来る。
 
 あっという間に、テーブル席は満席になった。

 朝からあんなにがらんとしていたのに、突然のラッシュにあ然とする。

 これで危機を脱したってわけじゃない。でも、まだ望みはある。

 香澄さんとのやり取りを終えた途端賑やかになった店内を見渡しながら、

『ひょっとして香澄さんは、幸運の女神かもしれない』
 
 俺はそんなことを考えていた。
< 63 / 147 >

この作品をシェア

pagetop