ひとはだの効能
「クリスマスイブ?」

「うん。……よかったら一緒に食事でもって思って」

 自分の気持ちを再確認できたら、あとはまた、少しでも距離を詰めるべく攻めるだけだ。だから、勇気を出したのに。

 香澄さんは俺を見て、気まずそうな顔をした。

「あ、なんか予定ある?」

 やっぱり先約ありか。……その相手って、ひょっとして菅井さん?

 がっくりと項垂れそうになるのを必死で堪えて、香澄さんの返事を待つ。

「実は、結婚式なの」

「あー、お友達とか?」

 よかった、男との約束じゃなかった!

 しかし安心したのも束の間、俺は続く香澄さんの言葉に愕然とした。


「ううん、会社の先輩。あのほら、私が前付き合ってた……」

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