夏の忘れもの
その後
『仕事終わった? 俺はそろそろ帰れそうだけど、帰れるなら一緒に買い物に行こう。荷物持ちするよ』
携帯に彼から届いたメッセージを読んで、自然と顔がニヤける。荷物持ちって、お米を買わなきゃって言ってたのを覚えててくれたんだな。
こういうところが好きなんだよな、と思いながら『私も帰れそう』とメッセージを送信する。
「松井さん、今日の飲み会こないんですか?」
作りかけの文書を保存して、パソコンの電源を落としていると、ひょこっとパソコンの前に顔を出した江川くんが声をかけてきた。
「うん、パス。江川くんは行くの?」
「そのつもりですけど……松井さんが行かないなら、パスしようかな」
「なんで? 行きなよ。じゃあ、私、約束があるから帰るね」
「あ、ちょっと待ってくださいよ」
携帯を見ると、数分前に会社を出たと彼からのメッセージが届いている。これなら、いい感じに合流できそうだ。