亡国の王女と覇王の寵愛
こんなに重要な、しかも大切な人達に関わることを決断しなければならないなんて思わなかった。
それでも本来ならば、レスティアはいずれグスリール王国の女王となっていた身だ。
自分の決定が誰かの生死を左右してしまう。
いつかはこんな日が来ていたかもしれない。
イラティはまるで祈るように両手を組み合わせ、潤んだ目でこちらを見つめていた。
その不安そうな目。震える手。見ているだけで痛々しく感じる。
彼女をそんなふうに変えてしまったものが何なのか、レスティアには何となくわかっていた。
(イラティ様はディア兄様のことを……)
きっと恋をしている。
亡国の王女イラティが、同じように国をなくしたディアロスを。
恋は、時も場所も選んではくれない。
相手の立場も関係なく、突然訪れてしまうものだ。
レスティアが敵国の王だったジグリットにいつのまにか恋をしてしまったように。
(そう。私は彼のことを愛しているのだわ……)
同じような状態のイラティを見て、はっきりと自覚した。
そうして一度意識してしまえば、相手が苦しんでいたら、何でもしてあげたいと思うのは当然かもしれない。
真夜中にたったひとりでレスティアのもとを訪れた、このイラティのように。
(それでも、私は……)
まだ未熟な自分では、誰もが納得するような正しい結論は出せないのかもしれない。でも、せめてグスリールの王女として、このヴィーロニアの王妃として恥ずかしくない答えを出したい。
覚悟を決めて、レスティアはイラティに向き直る。
「ジグリットもディア兄様を死なせてしまうのは不本意でしょう。ですから私が説得します」
会ってはいけないと言っていた彼の言葉には反してしまうが、今は緊急事態だ。
主が不在の王城で変事があってはいけない。
そんなレスティアの言葉に、イラティは目を潤ませて、嬉しそうに立ち上がる。
「では、すぐに行きましょう。夜のほうが人目に付きませんから」
ジグリットがディアロスに会うことを禁じているのは、イラティも知っているのだろう。だからこそこんな時間に訪れたのだ。言葉通り、すぐにでも駆け出しそうな彼女に、レスティアは申し訳ない思いで首を振る。
それでも本来ならば、レスティアはいずれグスリール王国の女王となっていた身だ。
自分の決定が誰かの生死を左右してしまう。
いつかはこんな日が来ていたかもしれない。
イラティはまるで祈るように両手を組み合わせ、潤んだ目でこちらを見つめていた。
その不安そうな目。震える手。見ているだけで痛々しく感じる。
彼女をそんなふうに変えてしまったものが何なのか、レスティアには何となくわかっていた。
(イラティ様はディア兄様のことを……)
きっと恋をしている。
亡国の王女イラティが、同じように国をなくしたディアロスを。
恋は、時も場所も選んではくれない。
相手の立場も関係なく、突然訪れてしまうものだ。
レスティアが敵国の王だったジグリットにいつのまにか恋をしてしまったように。
(そう。私は彼のことを愛しているのだわ……)
同じような状態のイラティを見て、はっきりと自覚した。
そうして一度意識してしまえば、相手が苦しんでいたら、何でもしてあげたいと思うのは当然かもしれない。
真夜中にたったひとりでレスティアのもとを訪れた、このイラティのように。
(それでも、私は……)
まだ未熟な自分では、誰もが納得するような正しい結論は出せないのかもしれない。でも、せめてグスリールの王女として、このヴィーロニアの王妃として恥ずかしくない答えを出したい。
覚悟を決めて、レスティアはイラティに向き直る。
「ジグリットもディア兄様を死なせてしまうのは不本意でしょう。ですから私が説得します」
会ってはいけないと言っていた彼の言葉には反してしまうが、今は緊急事態だ。
主が不在の王城で変事があってはいけない。
そんなレスティアの言葉に、イラティは目を潤ませて、嬉しそうに立ち上がる。
「では、すぐに行きましょう。夜のほうが人目に付きませんから」
ジグリットがディアロスに会うことを禁じているのは、イラティも知っているのだろう。だからこそこんな時間に訪れたのだ。言葉通り、すぐにでも駆け出しそうな彼女に、レスティアは申し訳ない思いで首を振る。