今日から家族になりまして。
空が買い物に行って20分くらいが経った頃、なんだか外の雲行きが怪しくなってきた。
あんなに太陽がサンサンとしていたのに、雲で太陽が隠れてさっきの明るさがなくなった。
雨が降りそうな……というか絶対降るであろう分厚い灰色の雲がどんどん押し寄せてくる。
「やだ、雨降りそうね。空くん、早く帰ってこなきゃずぶ濡れになっちゃうわ……」
「傘、持ってないんだよね」
「ええ。雨なんて降りそうになかったもの。この雲は大雨確実ね……」
そうお母さんとリビングで話していた、その時だった
ドガシャアァァァン!!!
窓が吹っ飛んできそうなくらいものすごい音が家の中に響いてきた。
雷だ。
「きゃあああああ!!!」
私は思わず両耳を塞いで、叫びながら座りこんでしまった。
足がすくんで立てない。
怖い
怖い
怖い!!
「陽菜!大丈夫だから!」
お母さんがすぐに駆け寄ってきてくれて、私の肩を少し強めに、優しくさする。
お母さんのフォローで、混乱はしかけているけど、なんとか私の心は乱れずにすんでいる。
「大丈夫よ、ほら。立てる?」
お母さんは私に優しく声をかけて、立ち上がるのを手伝おうとしてくれた瞬間のことだった。
リビングの電気が、ふっと静かに消えた。
停電!?
私は、暗闇が怖くて目をつむる。
「おかあさ……」
「電気、すぐつくわよ。きっと通り雨だと思うし、すぐ止むわ。大丈夫よ」
お母さんが肩をポンポンと優しく叩く。
自分で身体が震えているのがわかる。
でも、フラッシュバックはしない。
また思い出すかもっていう怖さはあるけど。
前にもこんなことがあった時、空がそばにいてくれたな。
私が取り乱しているところを、空が一緒にいて安心させてくれた。
「…………空、大丈夫かな。」
ふと、お母さんに抱きしめられる腕の中で呟く。
「大丈夫よ。きっと、雨宿りしてるところよ」
そっとお母さんは、私の頭をなでた。
「…………」
そうだったらいいな。
まだ、買い物をしている最中で、今頃雨に気づいて……スーパーで待機してるところだよね。
そうだよね、ね?
空……。