今日から家族になりまして。



プルルルルッ




ビクッ!




突然、私のズボンのポケットに入っているスマホが鳴った。




電話?


空?




私は素早くスマホを手に持ち、画面に出る名前を確認する。




空だ。




私はすぐに電話に出た。




「空っ、雨だいじょうぶ?」




私はすぐさま今の状況を確認しようとする。




すると、電話越しに空の声が聞こえてきた。




《あ、陽菜っ。いやぁどしゃ降り!生ものも買っちゃってるし、すぐ帰るわ》




空の声が、電話越しだと直接会って話した時よりも少し低い。




ちょっとだけ、知らない人のように感じる。




「えっ?雨宿りしないの!?スーパーで待機しなよ!」


《いやいや。こんなんいつ止むかわかんねぇし、家だって近いから走って帰るよ》


「だ、だめ!しばらくそのままいて!」


《大丈夫大丈夫。全力疾走すれば5分で着くって!》




空は軽く笑って話す。




《今スーパー出た!》




その空の言葉に、私の不安は一気に増した。




「ちょっ、何言ってんの!そんな急がなくていいから!」




ザァァァ、と電話越しに雨の音がする。




それと同時に、バシャバシャと雨の中を走ってるであろう音も聞こえてきた。




そして




《冷たいな〜陽菜は。大丈夫だって。待っとけ待っとけ。お前の好きなアイスも…………》




空が言いかけた瞬間。




ッピシャアァァァン!!




と、また雷がどこかに落ちたような音が響いた。




それと同時に……




ブツッ………………




「…………えっ?」




空との接続が切れた。




「すごい雷ね……空くん、なんだって?」




お母さんが心配そうに私に聞く。




「…………この雨の中、スーパー出たみたい。帰るって。でも話してる途中で、電話切れて……」




何回も空に電話をかけ直すが、空が出る様子はない。




なんで?


なんでつながんないの?


さっきまで話せてたのに。


なんかあったの?


雷に撃たれたとか?


事故にあったとか?


ねぇ、空


もし空になんかあったら


私……私っ……!




私はすくっと立ち上がり、勢いよく走り出しリビングから出ていった。




「陽菜!?」




私の名前を呼ぶお母さんの声に反応せず、私は玄関に向かう。




ずっと放置されていた自分の靴を履き、玄関のドアを開けてどしゃ降りの大雨の中、傘も持たずに駆け出した。


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