結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
こんな調子で、来週の金曜日の夜に食事をすることになったわけだけれど、そのことはあえて考えないようにしていた。
今度はれっきとしたデートだとすでにはっきりしているし、社長に甘やかしてもらうだなんて考えたら気楽でいられるわけがない。
咲子ちゃんたちには、葛城さんの件は一応明かしていないけれど、接待に同行させられたということや、そのお礼でまた社長と食事に行くことは話してある。
だから、彼女はこうして興味津々でお節介を焼いてくれるのだ。
「どんな服着ていくかとか、もう決まってます? 勝負服とか持ってますか?」
「いや、全然……」
女らしい服はあまり持っていないし、それ以前にデートの経験なんてないのだから、こういうときはどういうファッションをしたらいいのか、確かに悩みどころだ。
こんな浮ついた話をするのは気恥ずかしくて、もじもじしながら答えると、私たちの向かいでメモをとっている氷室くんが無表情で加わってくる。
「社長の好みに合わせればいいんじゃないですか。なんなら僕がリサーチしてあげますが」
「いや、遠慮しとく……」
気遣いはありがたいけれど、氷室くんのことだから“倉橋さんにどのような服装をしてもらいたいですか?”なんてド直球で聞いてしまいそう。
今度はれっきとしたデートだとすでにはっきりしているし、社長に甘やかしてもらうだなんて考えたら気楽でいられるわけがない。
咲子ちゃんたちには、葛城さんの件は一応明かしていないけれど、接待に同行させられたということや、そのお礼でまた社長と食事に行くことは話してある。
だから、彼女はこうして興味津々でお節介を焼いてくれるのだ。
「どんな服着ていくかとか、もう決まってます? 勝負服とか持ってますか?」
「いや、全然……」
女らしい服はあまり持っていないし、それ以前にデートの経験なんてないのだから、こういうときはどういうファッションをしたらいいのか、確かに悩みどころだ。
こんな浮ついた話をするのは気恥ずかしくて、もじもじしながら答えると、私たちの向かいでメモをとっている氷室くんが無表情で加わってくる。
「社長の好みに合わせればいいんじゃないですか。なんなら僕がリサーチしてあげますが」
「いや、遠慮しとく……」
気遣いはありがたいけれど、氷室くんのことだから“倉橋さんにどのような服装をしてもらいたいですか?”なんてド直球で聞いてしまいそう。