結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
まんまと言いくるめられそうになるも、なんとか冷静な思考を呼び戻す。
ひと目見ただけで欲情するっていうの? そして、それが好きになる予兆ということ? 本当にそんなことがあるのかな。
媚薬の件は別として、普通は好きな人ができてからその人を抱きたい、あるいは抱かれたいと思うものじゃないだろうか。
「そ、そんな本能を恋愛感情と捉えていいんですか? 人を好きになるには動物的な直感だけじゃなくて、性格は合うかとか、経済力とか年の差とか、そういう諸々を考えることが必要でしょう」
ひと目惚れの経験もない私には考えられないことだ。それに、この自論が間違っているとも思わない。
それなのに、どこか言い訳をしているような気持ちになるのはなぜなのだろう。
まっすぐ私を見つめる彼の瞳から逃れたくて前を向いたまま、自分に言い聞かせるためにも口を開く。
「私は本能より理性が大事なんです。この考えは絶対に変わらな──」
言い終わる前に、勝手に視界が変化した。海に浮かぶ光の城ではなく、端正な顔が目の前に迫っている。
大きな手に覆われる左の頬が熱い。私を捉える眼差しも、同様に。
ひと目見ただけで欲情するっていうの? そして、それが好きになる予兆ということ? 本当にそんなことがあるのかな。
媚薬の件は別として、普通は好きな人ができてからその人を抱きたい、あるいは抱かれたいと思うものじゃないだろうか。
「そ、そんな本能を恋愛感情と捉えていいんですか? 人を好きになるには動物的な直感だけじゃなくて、性格は合うかとか、経済力とか年の差とか、そういう諸々を考えることが必要でしょう」
ひと目惚れの経験もない私には考えられないことだ。それに、この自論が間違っているとも思わない。
それなのに、どこか言い訳をしているような気持ちになるのはなぜなのだろう。
まっすぐ私を見つめる彼の瞳から逃れたくて前を向いたまま、自分に言い聞かせるためにも口を開く。
「私は本能より理性が大事なんです。この考えは絶対に変わらな──」
言い終わる前に、勝手に視界が変化した。海に浮かぶ光の城ではなく、端正な顔が目の前に迫っている。
大きな手に覆われる左の頬が熱い。私を捉える眼差しも、同様に。