結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
そんな私たちに気づいていないだろう葛城さんは、「まぁ、仕方ないですね」とため息交じりにこぼして、身支度を整える。
そして手洗い場のほうへ進む彼を、つい立ち止まったまま眺めていた、そのとき。
「……クソ王子め」
バサッと白衣を羽織ってあとに続く社長から、ボソッと呟かれた声が聞こえ、ギョッとしてしまった。見上げた先にある顔は、いたって平静だったけれど。
こんな悪態をつく社長の姿は、皆には絶対見せられないな……と、歪む口元をマスクで隠して私もふたりのもとへ向かった。
それからの工場見学は、特に問題なく進んでいる。
葛城さんのことは、まだ一部の人間しか知らない。しかし、社長に付き添われている状況を見れば、工場内の皆もそれなりにすごい人だと察しがついているだろう。
こちらに挨拶する作業員とすれ違いながら、工程を順に辿っていく。
コーティング・パンという丸い機械の中で、アーモンドにチョコレートをスプレーしていたり、長いトンネルを潜って光沢のあるトリュフが生まれてきたり。
甘い香りが充満する空間の中では休みなく機械が動き、一日に数万個の製品が作られている。それらを説明しながら、ゆっくり歩いていた。
そして手洗い場のほうへ進む彼を、つい立ち止まったまま眺めていた、そのとき。
「……クソ王子め」
バサッと白衣を羽織ってあとに続く社長から、ボソッと呟かれた声が聞こえ、ギョッとしてしまった。見上げた先にある顔は、いたって平静だったけれど。
こんな悪態をつく社長の姿は、皆には絶対見せられないな……と、歪む口元をマスクで隠して私もふたりのもとへ向かった。
それからの工場見学は、特に問題なく進んでいる。
葛城さんのことは、まだ一部の人間しか知らない。しかし、社長に付き添われている状況を見れば、工場内の皆もそれなりにすごい人だと察しがついているだろう。
こちらに挨拶する作業員とすれ違いながら、工程を順に辿っていく。
コーティング・パンという丸い機械の中で、アーモンドにチョコレートをスプレーしていたり、長いトンネルを潜って光沢のあるトリュフが生まれてきたり。
甘い香りが充満する空間の中では休みなく機械が動き、一日に数万個の製品が作られている。それらを説明しながら、ゆっくり歩いていた。