結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「この機械には、データを入力できるスクリーンがついていまして、チョコレートの上に様々なデザインを作れるような装置をプログラムすることができるんです」


新しい機械の前で足を止め、それの特長を説明すると、葛城さんは少し感心したように言う。


「機械でも細かい作業が可能になってきてますよね。それでも、手作りには敵わないでしょうけど」


毎日手作業でチョコレートを作っている彼には自信が溢れているものの、嫌味には感じずもっともだと思った。

「その通りです」と同調する社長も、その様子から上辺ではなく本心で言っているのだとわかるし、さらにこう続ける。


「ひと品ずつ手間暇かけて職人が生み出す品質を、大量生産している工場で超えることは難しい。だからこそ、少しでも近づけるように日々創意工夫を凝らして、成長し続けていきたいですね」


凛とした声で語られた言葉には彼の志が感じ取れ、葛城さんもそれを汲み取ったように頷いた。

社長が目指すサンセリールを築き上げていくために、私もお手伝いしたいと素直に思う。

紳士的な態度は作られたものであっても、信念には嘘がないから、この人についていきたくなるんだろうな。

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