結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
彼は再び真剣な眼差しになり、「それだけじゃない」と続ける。


「倉橋さんはグラースの原材料を見抜いた。自分の作品をここまで吟味してくれたのかって、すごく感動したよ」


控えめに嬉しそうな笑みを見せる彼の言葉に、少し胸を打たれた。

私も、自分が研究して生み出したものを吟味して褒めてもらえたら、間違いなく嬉しい。あのときの私のひとことが、葛城さんに響いていたのだということも。

熱がこもった瞳に捉えられ、徐々に私の体温も上がっていく。


「だから、君を手に入れたくなった。幸い、お見合い相手募集中のようだし」


ストレートに言われてドキッとしたものの、少しいたずらっぽく口角を上げる彼の補足で、私はさらに目を丸くした。

だって、“お見合い相手募集中”って……!


「なっ、なんで知ってるんですか!?」

「昨日、“ケイコク”に行ったから」


それを聞いてはっとする。古語で美人という意味の“傾国”から取ったそれは、母が働くスナックの店名だからだ。

若くてオシャレな葛城さんともあろうお方が、熟女揃いのあのスナックになぜ!?

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