結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「得意先のおじさんに半ば強引に連れられて行ったんだけど、なかなか楽しいお店だね。相手してくれてたママの話を聞いてたら、倉橋さんの名前が出てきたから驚いたよ。まさかお母さんに会えるとは」

「そ、そんな偶然があるんですね……」


無邪気に笑う葛城さんの話で、すべてを悟った私は脱力してうなだれた。

お母さん、私に紹介できそうな人をまだ探してくれていたのね。今はお見合いをする気はなくなったってこと、はっきり伝えてなかったからな……。

しくじった気持ちで頭を抱えていると、葛城さんはふいに可愛らしく手を挙げる。


「そこでさっそく、お見合い相手に立候補させてもらいました」

「そうですか、立候補…………えぇぇっ!?」


またしても雄叫びを上げてしまった。

ちょうど工場から出てきた社員が、びっくりして私たちを見る。私は「すみません」と軽く謝り、その人が完全に去ってから葛城さんが話し出す。


「まぁ、もう顔は知ってるからお見合いとは言わないかもしれないけど。でも僕は、倉橋さんと付き合うなら前向きに結婚を考えたい」


冗談ではなさそうな彼の様子に、私は唖然とするしかなかった。

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