結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
さっきから驚愕してばかりだけれど、そうなるのも仕方ない。交際を申し込まれたと思ったら、いきなり結婚にまで飛ぶんだもの。思考がついていかないわよ。

とりあえず、今は混乱していて正常な判断ができないのだということを伝えておきたい。


「あの、すみません。ちょっと、急に話が飛躍しすぎて……」

「あぁ、ごめん。熱が入ると周りが見えなくなっちゃって。僕の悪い癖だ」


私が遠慮がちにぎこちなく言うと、葛城さんは苦笑を漏らしてぽりぽりと頭を掻いた。


「でも、そのくらい欲してるってことなんだよ。まだ会って間もないのにね。こんなこと初めてだ」


困ったようでいて甘さを含んだ笑みを浮かべる彼に、胸が掻き乱される。

今の彼には、初対面のときのような無関心さは皆無だ。こんな表情で求められたら、嫌でも意識してしまう。

どうしたらいいのだろう。結婚を前提としたお付き合いを容易に決めることはできないし、かといって彼の気持ちを無下にすることもできない。


「わ、たし……」


まっすぐ見つめてくる彼の瞳から目を逸らし、ドクドクとうるさい鼓動を感じながらなんと答えたらいいか考えあぐねていた、そのときだった。

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