結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「『父がお世話になりました』って言うから、なにかと思ったわよ。あんなイケメンになって、しかも綺代と同じ職場だなんて……運命ってすごいわね」


興奮冷めやらぬ様子で、でもしみじみと話しながら、お母さんはローテーブルの上に社長からいただいたお見舞いの品を置いた。


「綺代は忘れちゃったかしら。お父さん、お友達の泉堂さんのことよく話してたんだけど」

「あー……なんとなく覚えてる、かも」


本当は結構覚えているのに、ぎこちなく微妙な返答をしてしまった。社長がタツくんかもしれないということにも気づいていながら、お母さんに言っていなかったから、ちょっぴり後ろめたくて。

すると、彼女の口から驚くべきひとことが放たれる。


「タツくんはあんたのこと知ってたみたいよ」

「……え?」


社長も、私のことを?

窓を閉めた私は、目を丸くしてお母さんを見やる。彼女は、棚の上に飾ってある家族写真を懐かしそうに眺めていた。


「泉堂さんも、家でよく私たちのことを話してたんですって。残された私たちをすごく心配してくれてたみたい。だからタツくんも、綺代の名前を覚えてたのね」

「そう、だったんだ……」

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