結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
まさか、社長もずっと前から、私がお父様の友人の娘であることを認識していたなんて。

初めて知った事実に呆然としていると、お母さんは穏やかに微笑みかける。


「彼がこんなに綺代のことを気にかけてくれるのは、お父さんのことがあったからかもしれないわね。またお礼しなさいよ」


彼女はそんな言葉を残して部屋を出ていく。ドアがパタンと閉められると同時に、気になっていたことがふに落ちた。

社長がどうして私に過保護なのか。それは、私が彼の大切な人に似ているというだけでなく、亡くした父の代わりに守ろうとしてくれていたからではないだろうか。

絡まっていた糸が解けるような感覚とともに、胸に切ない痛みを覚える。

よく考えてみれば、子供扱いされることばかりだったもの。私への恋愛感情なんてあるわけがないよね……。

わかっていたことなのに、ダメージは大きい。ため息をついて、目に入ったお見舞いの品が置かれたテーブルの前に座り込む。

とりあえず中を見てみると、専門店でしか買えないと有名なプリンや果物、その上に一枚のメモが乗っていた。

社長の綺麗な字で書かれたそれを見て、またひとつ謎が解けた気がした。

さっき彼が言っていた、『君の願いを叶えてあげます』という意味は、もしかして──。


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