結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
弾みそうになる胸に言い聞かせ、顔を離した社長を目を細めて見据える。


「そんなこと言って恥ずかしくないんですか?」

「えぇ、本当のことですから」


ふわりと微笑み、表と裏の顔を交互に見せる彼はいたって平静。どこまで冗談で、どこまで本気なんだか。掴みどころのない人だ。

でも、これもお祝いのひとつとして受け取っておこう。今日は、甘いセリフも微笑みも、彼がくれるすべてが私へのプレゼントだ。


花束は家の中に置いておき、私たちは車に乗り込んだ。どこへ連れて行ってくれるかは、聞かなくても見当がついている。

私が小学二年生のとき、誕生日にお父さんと遊園地に行く約束をしていた。

しかし、お父さんはその約束を果たす前に亡くなってしまった。

もしも社長が、お父様である泉堂さんからその話を聞いていたとしたら。私の願いを叶えてくれるというのは、遊園地に連れて行ってくれるという意味じゃないだろうか。

夕闇が迫る街並みを眺めながら推測していた通り、およそ一時間ほど車を走らせて着いた場所は、家族連れやカップルに人気の、都内にあるテーマパークだった。

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