結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「す、すごすぎます……! 遊園地を貸切るなんて、夢でしかないと思ってました」


瞠目して言うと、ふっと笑みをこぼした社長は、こちらに片手を伸ばしてくる。

そして私の頭を引き寄せると、斜めに流した前髪から覗く額に軽いキスを落とした。

柔らかな感覚にドキリとして見上げれば、彼は私の頭を支えたまま得意げに微笑む。


「人目を気にしなくていいから、思う存分可愛がってやれる」


じわじわと火照る顔でむくれる私。この狼さんはまったく……油断も隙もありゃしないんだから。


「調子に乗らないでください。ほら、行きましょう!」


毅然とかわし、社長の服の裾を引っ張ってさっさと歩き出す。

でも、内心は恋人ごっこのようなやり取りが嬉しくもある。それを見抜いているかのように、彼は楽しげに笑っていた。

童心に返って、どれに乗ろうかと興味津々に観察しながら歩いていると、ふわふわと上がったり下がったりしている気球のアトラクションにまず目を引かれた。

あれならそんなにスリルは感じなさそうだし、気持ち良さそう。


「社長は高いところ平気ですか? 気球のやつ乗りましょうよ」

「その前に。ふたりでこんなとこ来てて“社長”はないだろ」

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