結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
その勢いで、私の口からは勝手にこんな言葉が飛び出す。


「あっ、あの! デザート食べませんか!?」


勢い良く振り向き、無駄に明るく提案する私を、彼はパチパチとまばたきをして見つめる。

ついに切り出してしまった、とあとに引けない気持ちになりつつへらっと笑い、洗い物を中断して冷蔵庫のほうに向かった。

そこからバレンタインのときのように綺麗にラッピングした箱を取り出して、達樹さんに手渡す。


「これは……チョコ?」

「はい。手作りです、一応」


嘘ではない。嘘ではないけど、「わざわざありがとう」と微笑む彼を見ると、少々罪悪感が生まれる。

とりあえず、リビングダイニングのソファーに移動する達樹さんについていき、隣に腰を下ろした。そして、彼がチョコレートを摘むのをドキドキしながら見つめる。

いちじくのペーストを使ったなめらかなソースを注入したチョコレートは、もちろん私たちも味見していて、なかなかいい仕上がりだと思う。

ちなみに味見は、各自家に持ち帰ってひとりで食べる、という方法を取った。

その時点では、媚薬のような効果は感じられなかったという意見で一致したが、異性がいる場面で食べたらなにか変化があるかもしれない。

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