結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
姉に選んでもらった上品なワンピースに薄手のジャケットを羽織り、ナチュラルストレートの髪は下ろしたまま。これで間違いなく就活生ではないはず。

上手いか下手かは別として、メイクも数年ぶりくらいにバッチリしてきたし。なんとなく、甘利さんの反応もいい気がする。

今日のお相手の彼は、年収も学歴もいたってそこそこの人。前回の爽やかイケメン商社マンとはあえて正反対の人を選んでみたわけだけど、醸し出す雰囲気がなんだか安心する人だ。

なんていうか、ゆるキャラ、みたいな。
結婚するならこういう人のほうが、幸せになれるのかも。


「倉橋さんは、サンセリールで研究員をなさっているんですね。僕、チョコレート大好きなんですよ」


愛嬌のある顔でニコニコしている彼の、丸みを帯びたシルエットを眺めて微笑みながら、思わず「そのようですね」と返してしまった。

だって、甘いもの好きそうだもの。というか、食べることが好きそう。

きっと、どんな料理でも美味しそうに食べるんだろう。いいかもしれないな、そういう人も。

ここからもう少し話を広げてみたら、もっと彼の人となりがわかるよね。私からも質問してみよう。

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