結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「泉堂社長は有能な経営者です。自分がやるべき仕事、部下に任せる仕事、そのすべてを完璧に割り振って時間を上手に使っているから、忙しくても余裕があるんです」


咲子ちゃんとふたりでふむふむと頷いた。

確かに、デキる経営者は余裕を持って働いているのだと、なにかで聞いたことがある。

そうできない人は仕事に追われていっぱいいっぱいになり、やがて会社はうまく回らず、従業員にまで苦しい思いをさせるのだと。

そういえば、さっき私を待っていた彼は資料を読んでいたっけ。あれはきっと、少しの時間も無駄にしないことを心得ているからだ。

普段からそうしているから、私が入院したときも、そばについている時間を確保できたのだろう。


「その限られた時間の中で、しかも朝一番に会いに来たということは、社長にとって倉橋さんがとても重要な存在だと言っていいんじゃないでしょうか」


分析結果を述べるような氷室くんには妙に説得力があり、私は目をしばたたかせる。

彼の見解は正しいかどうかはわからないけれど、自分が社長に必要とされているのは確かだとお墨つきをもらえたみたいで、嬉しさがじわじわと湧いてくる。

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