結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
彼の頭の中を透視できるような力があればいいのに、と柄にもなく不可能な能力が欲しくなっていると、さっき社長が座っていた二人掛けのソファに促される。

教えてもらえないことを少々不満に思いつつそこに座り、彼も隣に腰かけると、私の両肩に手を添えて斜め前を向かせる。

そして、「失礼」とひとこと断った彼に背後から髪に触れられた瞬間、難しいことは考えられなくなった。

後頭部の上のほうから差し込まれた指が髪を滑り、手ぐしで整えられる。何度かそれが繰り返され、どうやらひとつに束ねようとしているらしいことがわかった。

美容師さん以外の男性で、こんなに髪に触れられたのは初めて。すっごくドキドキする……!


「綺麗な髪ですね。指通りがよくて、ずっと触っていたくなる」


セクシーな声色でそう紡がれると同時に、髪を集める指が首筋をなぞり、ゾクリとした。

私の地毛は少し茶色っぽく、染めたりパーマをかけたりもしていないから、確かに傷んではいないと思う。

でも、褒め方がなんかエロいと思ってしまうフトドキな私……フッ素と水素の化学反応に巻き込まれて爆発してしまえ。

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