結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
「あの、ちょっと社長、どういうことですか?」


車を停めてある駅前のパーキングに向かう最中、長い足で歩く彼の隣に小走りで並び、たまらず問いかけた。

社長は表情を強張らせる私を一瞥し、淡々と驚くべき事実を明かす。


「倉橋さんには、これから私の接待に同行してもらうつもりです。直前まで内緒にしていて、本当に申し訳ない」


せ、接待に同行~!?

信じられないミッションに、開いた口が塞がらない。まさか、あのときの『付き合ってください』のひとことには、“接待に”という補足が隠されていたの?

そうか……だからお見合いのときのような服装で来いと指定したし、髪の毛を纏めてくれたのね。会食の場に相応しい身だしなみにするために。

謎だったいくつかのことは合点がいったけれど、根本が納得できない!

謝ったもののあまり悪くは思っていなさそうに見える社長に、私は思わず声を荒げてしまう。


「そんなっ……どうして私が!? 社長にはちゃんとした秘書の方がいるじゃありませんか!」


社長には、彼に釣り合うスレンダーな美人で、完璧な秘書の女性がいる。それなのに私を連れていこうとする意味がわからない。

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