結論、保護欲高めの社長は甘い狼である。
黒光りする革靴、身体にフィットしたネイビーの生地にストライプ柄の高級そうなスーツ。

男性らしい顔の骨格、情熱的そうな少し厚めの唇、スッと通った鼻筋、優しげだけれど力強さも感じるアーモンド型の二重の瞳。

そして、緩いニュアンスパーマがかかった、大人のセクシーさを醸し出すダークブラウンの髪。

あれ、この人見たことがある。…………っていうか!

見たことがあるどころじゃない。高貴なオーラと、パーフェクトに整ったお顔をお持ちのこの方は、泉堂 達樹(せんどうたつき)さん……

サンセリールの若き社長ではないですか!?


「しゃ──っ!」


思わず“社長!”と叫びそうになり、慌てて口を押さえた。

ただの研究員の私なんて存在を知られているはずがないし、こんなハイスペックイケメンを目の前にしてまともに話せるわけがない。

白衣と眼鏡で自分を保っていられる仕事中でなければ、泉堂社長の視界に入ることすらおこがましく感じるのだから!

しかし、これでもかというほど目を見開き、口を押さえて固まっている私を、彼が怪訝に思わないはずがなく。不思議そうに首をかしげて、じっとこちらを見る。

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