彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
ドライブといっても目的地もなく、ただ海岸線を走っているだけ。
そうしているうちに太陽も沈みかけていて、だんだんと日も暮れてきた。


「これ以上暗くなったら海岸線を走ってもつまらないですね」

「え?」


海が見えるから、海岸線を走ってくれていたのかな?
まぁ他にドライブに向いているところがあるとも思えないけど。


「海に夕日が沈んだらいいのに……」


私たちの住む町は太平洋側で、基本的に太陽は山に沈む。
頭に思ったことを言っただけなんだけど「この辺では、見れませんからね」とすぐに答えが返ってきた。


「主任は見たことありますか?」

「……見に行きますか?」


その声に驚いて主任の方を見るけど、ただまっすぐ前を見て運転しているだけ。

今って、主任に見たことあるか聞いただけだったよね?
それがどうして見に行きますか?になるんだろう。
て、見に行きますか?って一緒にってこと?
って、え?

無言な私に慌てたように主任が「今からではないですけど」と申し訳ないように言う。


「あ、はい」


それはわかる。
だってもう沈みかけてるし。


「帰りは少し遅くなりますが、日付が変わる前には戻れると思います」

「はぁ」


なんとも気のきかない返事ばかり。
だって主任の言ってることがよくわからない。


「とは言っても、自分の車はありませんが」

「私の車でよかったら……」


って、それって私の車で一緒に行きましょうって誘ってるみたいじゃん。
何言っちゃってんの私。


「では次の機会に行くことにしましょうか」

「え?あ、はい」


ん?
今のって約束なのかな?
でも次の機会だから、そんなのは社交辞令みたいなものだよね?

だって、本当にいくとしたら昼間から出てたぶん帰ってくるのは夜遅く。
本当にそれってデート…でしょう?
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