彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
その後はまた無言で、ただラジオの音だけが車内に流れている。


「そろそろおなかすきましたか?」

「あ、そういえば」


言われて時計をみればもう7時近くてご飯食べるのにはいい時間になっている。


「フッ そろそろ行きましょうか」

「はいっ」


って元気よく答える私にやっぱり主任の口角が上がった気がした。
また子供っぽいって思われた、よね?


      *****


しばらくして朔也さんのレストランに到着。

いつものように名前を告げて席に案内してもらうとすぐに朔也さんが現れた。


「こんばん―――」
「純哉っ、遅いっ」


挨拶しようとしたら、開口一番朔也さんは主任に文句?
でも主任はしれっと「ちょうど夕飯の時間だろ?」と答えた。


ほんと、この二人仲いいの?って疑っちゃうんですけど。


「桃華ちゃん、昨日はごめんね?コイツが遅くまで仕事させたんでしょう?ちゃんと言って聞かせておくから」

「あ、いえ。大丈夫ですよ?」

「桃華ちゃんは優しいから。嫌なものはイヤって断っていいんだからね?」


何故か朔也さんは必死に言うけど、全く嫌なことなんてないんだけどな?
でもこの場でそう言ったら話が終わらなそうだし、


「はい」


話していると目の前に小さなグラスが置かれて。


「食前酒きたけど、今日は大丈夫かな?」

「あ、はい。この前すごくおいしかったので」


甘くておいしかった。おばあちゃんの梅酒といい勝負。


「ノンアルコール用意するんじゃなかったのかよ」

「お前いるし、いいだろ?ね?桃華ちゃん」

「はい。飲みたいです」


私は飲む気満々で答えたのに、何故か主任は不機嫌で。
この前、足元フラフラしちゃったから、またそうなられたら迷惑って思われちゃったのかな。


「ほら、桃華ちゃんもこう言ってるし」

「あとで水持ってきとけよ?」

「わかってるって、全く。お前ってけっこう過保護な?」


って言った朔也さんをギロって思いっきり睨んだ主任。
過保護ってことは保護者って意味だよね。やっぱり。


「じゃ、またあとで」


さわやかな笑顔を振りまいて朔也さんは戻っていった。
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