彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
食事も終わりコーヒーを頂いていると朔也さんが1つだけデザートを運んできた。


「はい、桃華ちゃんはこれね?」


うわ。また、その凶悪なほどの笑顔。
毒牙にかかりそうなんでやめてください。


「ありがとうございます。うわぁ、かわいい~おいしそ~」

「かわいいとおいしそうは同列なんですね。あいかわらず興味深いですね」

「だからさ、お前そういう物言いはやめろって」


その瞬間やっぱりギロって睨む主任。
今日はメガネがないからその睨みはかなり怖いんですけど。


「だいたいさ、今日は仕事じゃないんだし普通でいいだろ?」

「……まぁ、そう、だな」


最初は驚いたけど、朔也さんと話をする主任は普通の話し言葉。
ここで聞けるだけでもかなり貴重。


「桃華ちゃんも普通にしてくれた方が話しやすいよね?」

「えっと、はぁ。そう、ですね」


急に話を振られて、驚いて頷いてしまう。


「おまえさ、メガネしてないときは普通でいいんじゃないの?」

「一度スイッチ切ると自分でも手に負えないんだよ」


スイッチ?
何の?
手に負えない?
何が?


「…なるほどねぇ。ま、たまにはいいんじゃないの?」


私には全くわからないけど、朔也さんはわかったみたいで、深く頷いてる。


「お前、人ごとだと思って―――」
「また来月も、待ってるね?桃華ちゃん」

「へ?来月?ですか?」


ランチとかってことかな?


「そう、来月の休日ディナーメニューもね、かなりお勧めなんだよね」

「そうなんですか?それはもう是非っ」


って言ってしまってから、休日のディナーって言ったよね?今。
え?あれ?
来月も主任と一緒に休日にきなさいっていう催促?


「そういうわけで、純哉よろしくな」

「おい」


うわ。また眉間にシワすごいよってる!
怖いです。ほんと。


「じゃ、俺そろそろ戻るわ。桃華ちゃんごゆっくりぃ」


ヒラヒラと手を振って戻る朔也さんに「ありがとうございます」とお礼だけは言ったんだけど。

待って。こんな怖い顔をした主任と二人っきりにしないで下さい、朔也さん。
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