彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
見えない気持ちと取り残された心

ぽっかりあいた心の隙間 それを埋めてくれるものはなんだろう

主任がいなくなってから一週間。
そのデスクには新しい主任が座り、担当営業が変わった私は席の移動があった。
同じ席で主任とは違う人が座っていることにきっと違和感を感じるから、ちょうど良かったのかもしれない。

この環境にすっかり慣れたとは言えないけど、きっとこれが当たり前の日常になる日も近いんだと思う。
そう、まだ主任が苦手だと思って関わらないようにしていた頃のように。


「桃ちゃん、今日ちょっとだけ夜、いいかな?」

「夜、ですか?」


声をかけてきた望亜奈さんを見れば、どう見ても合コン仕様。
まさか、付き合ってまだ一ヶ月ちょっとしか経ってないはずなのに、もう次の人?


「あ、違うわよ?あー、でも違わないか」


どっちなんでしょう?
それって。


「親睦会、参加してくれないかな?」

「……なんですか、その親睦会って怪しげな集まりは」

「彼のね、お友達と親睦を深めようって言うね。ほら、お友達に紹介してもらうのってけっこう重要じゃない?」

「はぁ、そうなんですか?」

「私の仲いい子連れてきてってダーリンが言うから」


だ、だーりん?
そんな呼び方してるんですか?彼の事。


「私もね、合コンばっかりいってるガツガツしてる子は連れて行きたくないのよ」


まぁ、言ってることはわかりますけど。
ついこの前まで望亜奈さんも、そのガツガツした~の一人だったような気がします。


「そういうことなら、いいですよ?私も望亜奈さんの彼に会って見たかったですし」

「急でゴメンネ。ほんとはもっと早く決まってたんだけどね、桃ちゃん忙しそうだったから」


忙しかったかって言われれば確かにそうだと思う。
ただ、主任がいなくなってしまった穴はそう簡単に埋まらなかったっていうだけ。
それは仕事の面で、って言う意味だけど。ともかく忙しい一週間が過ごしていた。

望亜奈さんは口に出しては言わないけど。
気持ちを持て余したまま、それを仕方なく仕事にぶつけてたから。
見守ってくれていたんだと思う。

送別会のあとに私から連絡がなかったことで、大体の察しは付いているんだと思うけど。
今日は金曜だし、私を外に連れ出そうって思ってしてくれてるんだろうから
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