彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
はじめての料理教室が終わった後。
朔也さんに誘われて、望亜奈さんと一緒に入り口で待つことにした。
ビルを出ると、そこにいたのは潤兄。


「どうしたの?潤にぃ」

「桃が指切り刻んでないか心配になったから」


ちょっと、なにそれ。
ちゃんと指は10本間違いなく揃ってます!


「今日は初回だから切り刻みようがなかったもん」

「桃それさ。今後は切り刻む宣言?」


意地悪にそういった潤兄にさらに文句を言おうとしていたら、


「桃華ちゃん?」


そうだ、朔也さんとコーヒーを飲みに行くから待ってたんだった。


「朔也さん、おつかれさまです」

「おや、桃華ちゃんはお迎え付き?」

「いえ!違うんですけど――」
「講師お疲れ様です。桃はご迷惑お掛けしませんでしたか?」


ちょっと、潤兄。
まるで私がなんかやらかしたみたいじゃない?


「桃華ちゃんは熱心な生徒さんでしたけどね」


無駄に潤兄にまでその悩殺の微笑を浮かべなくてもいいんですよ?朔也さん。
なんかこの二人対峙すると、いつもこんなちょっとピリピリした雰囲気になるのは気のせい?


「このメンバーだとコーヒーって感じじゃないですね。よかったら飲みにいきますか?」

「是非っ!」


ちょっと、望亜奈さんっ。
なんでこう朔也さんのお誘いだとホイホイついていくんですか?!
仮にも彼がいる身なのに!


「…でも、朔也さんお疲れじゃないんですか?」

「全然。それに……彼とも話したいしね」


彼ってもちろん潤兄のことなんだけど。
なんでそんなに潤兄に興味持つんだろ?
ま、まさか朔也さんそっち系の人だったり?

いや、まさかね。違うよね?


「じゃ、決まり。おなか空いてなければバーでもいいかな?」

「俺はそっちのがいいですね」

「おっけー。じゃ、タクシーで移動しようか」


なんか不思議なメンバーでバーに行くことになったらしいです。
この間、私の意見なんて誰も聞いてくれませんでした。
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