彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
彼女の規則正しい寝息が続いている。

彼女はどれだけ緊張したんだろうか。

昨日のオフ会で突然俺がjunとして登場し、それをきちんと確認できないままに家に送られた。
たぶん眠れないままに夜を過ごしたに違いない。
わかっていたけれど、それを説明してしまっては自分の気持ちをすぐに言わなければいけない。
それは……できない。

彼女に無理をさせることはわかっていた。
でも最悪、車で寝てくれればいいと思った。
彼女は何度か俺の前で無防備にも寝顔を見せてくれている。
だから逆にその寝顔を見れたらとも思っていたのかもしれない。

有無を言わさず約束を取り付け、そして今日。車に乗せ夕日を見るために日本海へ来た。
彼女との約束を守るために。

彼女との約束は、どんな小さなことでも叶えてあげたい。
彼女の望むことならなんでも……


呆れながら過保護だと言った朔也。

はじめてだ。
こんなにも愛しいという気持ちになったことは。

そして
手に入れなければいけないと心から思ったことも。




好きだと言って自分の腕の中に閉じ込めた。
モモの甘い匂いについそのまま彼女の髪にキスを落とした。


本当に
何の警戒心もなく隣で寝ている彼女。

まったく、どこかにこのまま連れ込まれても気づかないまま寝ているんじゃないかとさえ思う。
そんなに信頼されてるのが今は正直……

困ったものだ。

彼女は放っておけばすぐに悪い妄想をする。
どうやったらそんな悪い方にだけ考えられるのか。
俺には謎で仕方がない。
かわいい彼女の悪いクセについつい苦笑い。



この先、どんな風に彼女を躾けていこうか。

どうやって彼女の恋のレベルをあげていこうか。


「覚悟、してくださいね」


寝ている彼女に微笑みそっと手を撫でると、ちょうど変わった信号にアクセルを踏んで車を走らせた。
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