彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
早く本社に戻りたかった。
そのために三年間地方の事務所で過ごしてきた。
だから当然ここでの仕事はやりがいもあるし、責任も感じている。
仕事も楽しい、はずだった。

一か月夢中で仕事をして気づけばもうすぐGW。

……そういえば、オフ会もうすぐだな。

たまにはログインするか。

仕事が忙しかった。それもある。
それより、彼女に会うと気持ちが戻されてしまいそうでログインすることができなかった。

久しぶりに会えたことがうれしくて、ついレベル上げにモモを誘う。
ところがモモも久しぶりのログインだったらしく何からしていいのわからないという。

そして思った通りオフ会の話へと進んでいった。
モモはオフ会に行くんだろうか?
東京にくるんだろうか?

気づけば問い詰めてた。
明らかに態度のおかしな俺にも普通に接してくるモモ。

やっぱり無理だ。
なんでこの想いを忘れられるだなんて思ったんだろう。
仕事をしているときは忘れられても、酒を飲んだらもうダメだ。
寝ようと思い目を閉じればいつも彼女が浮かんできた。
消せるわけのないこの想い。

東京に来る彼女。
もうこのままでなんていられない。


決めてからは早かった。
朔也にも連絡をし、「気づくのが遅い」なんて言われるのも聞こえないふりをして、電車のチケットの手配等すべてをその日までに整えた。

朔也の言うようにもう遅いのだろうか?
もしそうだとしても、彼女を家まで送っていくのは自分でありたい。
たとえそれが最後だとしても。

彼女の勇気を振り絞った告白の言葉をさえぎって、東京に来たのに。
いまさら、だ。

それでも……




そして、オフ会の会場へと向かった。
彼女を迎えに行くために。
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