彼と恋のレベル上げ(10/6おまけ追加)
忙しい中で見たものは

仕事優先の毎日 忙しい中で見たのは 意外な?彼の姿

平日は定時で、週末はゲーム三昧。
そんな夢のような期間はあっという間に終わった。

とうとうきてしまった六月。
新機種発表の前準備にはじまり、発売日とどんどん忙しくなる。
当然残業も増えて、店舗スタッフも事務所のみんなも忙しい。

店舗が忙しくなる時間帯、私はその手伝いに追われる。
だいたいこれは閉店間際まで続く。

だから午前中の時間と閉店後が書類の整理やデーター打ち込みの時間。
その前にちょっとだけ休憩。私は冷蔵庫にいれておいた飲み物をとりに給湯室に向かった。

とそのとき誰か戻ってきたようで同僚の「おかえりなさい」と言う声が聞こえる。
こんな時間に帰ってくるのは営業の人しかいないわけだけど。

振り向いて確認するとそこには少し疲れた様子の堂地主任。
私はこちらに気づいていないであろう主任に「おかえりなさい」と笑顔で言ってから給湯室に入った。

コーヒーをいれて主任の席に向かうと「おつかれさまです」と言ってデスクの隅にカップを置いた。


「ありがとう」


主任は一度こちらを見て言ったものの、すぐにまたパソコンに視線を向けてしまう。
忙しいのはわかるけど、コーヒー一口ぐらい飲んで休憩したらいいのにと思う。

トレイを給湯室に戻すと私は自分の席に戻った。

新機種が出て一週間。
事前準備から忙しくしていたから主任の疲れもピークに達しているはず。
私も疲れてはいるけど、それ以上に仕事量をこなしている主任はかなり疲労があるはずで。
こんな調子じゃ、家に帰ってからも仕事をしているだろうし、気分転換なんて出来ていないに違いない。

そんな事を考えながらデーターの打ち込みを終えたのは1時間後。
来週あたりからは店舗の手伝いもいらなくなるだろうし少しは余裕が出るかな。

仕事を終えたので主任に声をかけた。


「主任。こちらは終わりましたけど、何かお手伝いしますか?」

「いえ、大丈夫です。お疲れ様です」


パソコンから視線を逸らさずに答える主任。
こういうところが怖いって今までは思ってたけど……


「主任?あとは、これですか?」

「?」


あ、やっと顔上げてくれた。
メガネの奥の瞳が一瞬開いたような?


「これだったら私も出来ますし、二人でやった方が早いと思います」

「……そうですね。お願いしてもいいですか?」

「はい!もちろんです」
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