キミは俺のモノでしょ
もちろん当時五歳の俺に事細かに馴れ初めを話してこられてたとしてもきっとすべてを理解できなかっただろうし、今となっちゃ親のそんな話を知りたいとも思わない。


だけど、それにしてもあっと言う間に家族が増えた。


説明なんてないままに。


雫さんが『母』で、うららが『妹』になったと、それだけ聞かされたんだ。


雫さんとうららのことは、ただ、同居しているだけの赤の他人という風にしか思えなかった。


それ以上でもそれ以下でもなかった。


一緒に暮らす意味は『父が選んだ人とその子どもだから』――という以外には、なにも思い当たらなかった。
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