キミは俺のモノでしょ
「そこ、座って」


神社へと続く石段が近くにあった。

言われるがままに座ると、スカートをめくられる。


「ひゃっ、」

「変な声出すなよ」

「だ、だって。いきなりなに……」


兄が鞄から取り出したのは、消毒液と絆創膏だった。


もしかして……今買ってきてくれたの?


それからポケットからハンカチも取り出す。


「え、ちょ……」

「じっとしてて。あとうるさいから黙れ」

「……っ、」


あっという間に消毒して絆創膏を貼ってくれた。


「ありがとう……お兄ちゃん」

「急ぐよ。夕立きそう」


あっ、そうか。それで急いでたんだ。


「俺は折りたたみ持ってるけど」

「わたし、持ってない」

「天気予報くらいチェックすれば?」


そういえば、いつもならこんなときは母が『今日は雨降りそうだから持っていきなさい』って傘を渡してくれていた。

わたし、母がいなきゃそんなこともわからないんだなぁ……。


「でもまあ……別に急ぐことないか。傘なんてその辺のコンビニで売ってるし」

「ダメだよ。そんなの勿体無い。帰れば傘いっぱいあるのに」

「誰のせい?」

「うう」

「それでもう歩けるだろ。さっさと歩け」

「……うん!」
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