キミは俺のモノでしょ
駅から家は、そう遠くはない。

もううちのすぐそばまで帰ってきたから大丈夫だと油断した、そのとき。


「うわぁ……」


ゲリラ豪雨到来。


ボトボトと文字のごとく雨音が響き渡る。


「走るよ」

「折りたたみは?」

「こんなのさしても一緒」


手をパシッとつかまれる。


途中、最大の難所に到達した。


「ここの信号引っかかったら最悪だね」

「……お前といると」

「え?」

「お前といると、ほんといいことない」

「!」

「ひとりだったら、とっくに着いてたのに」


そういう兄の髪も制服もあっという間にビショビショになる。

もちろんわたしも同様にずぶ濡れだ。


怪我したとこがズキズキと痛むけど、絆創膏のおかげで雨にうたれずにすんでいる。
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