キミは俺のモノでしょ
◇
「伊勢谷ってうららのこと好きなの?」
うららが教室を出たあとに伊勢谷に近づきそんなことを囁いたのは、航太だった。
「は? なんだよ田村。そのいじり方は面白くない……」
「いじってねーよ。ガチで聞いてんだけど」
「…………」
「担任ってこと利用して近づいてない?」
周りには聞こえないくらいの声で問いかける航太。
「そんな風に見える?」
笑顔を崩さない伊勢谷。
「見えるから言ってんだよ」
伊勢谷は鼻で笑う。
「逮捕覚悟で生徒狙うなんて血迷った真似、俺がするとでも?」
「だったら構いすぎ」
「……そう?」
「伊勢谷見てたら、なんか、うららのためならなんでもしてやりそうで怖い」
「まさか。あくまで、いち教師として構ってやるだけだ。深入りなんてしないさ」