キミは俺のモノでしょ


 *



放課後、教室を出ようとしたら


「来栖」


伊勢谷先生に呼び止められた。


「……あー、えっと。元気にやってるか?」

「はいっ。なんとか」

「顔。朝よりはマシになったな?」

「……!!」


先生にも今朝妖怪みたいだったの気づかれていたのか。

今はもう、だいぶ腫れは引いてきたけれど。

まだまだいつもと別人みたいではある。


「あのさ。兄ちゃんの具合、大丈夫?」


……え?


「今日休んでるだろ。学校には本人から連絡あったからただの風邪ってことになってるけど。なんかあったのかなって思ったわけよ」

「……知らない」

「ん?」

「わたし、知らない。お兄ちゃんが休んでること」

「え……」

「さよなら、先生。また明日」


慌てて先生に挨拶すると、教室を飛び出た。

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