副社長には内緒☆番外編☆
俺たちの出会いも俺のナンパだから、信用してもらうのも時間がかかるとは思っていたけど、香織の事を狙っている男も多そうだから、悠長なことはいっていられない。

5つも年下の香織に完全に俺はやられてる。

「弘樹君?どうしたの?」
俺は相当難しい顔をしていたようで、キョトンとした香織の瞳とぶつかった。
「いや……。なんでもない。今日は水族館に行きたいんだっけ?」
「うん」
ニコリと微笑んだ香織の手をキュッと握った。
それだけで俺は幸せな気持ちでいっぱいだった。

29にもなってこのざまは誠には絶対見せられない。
まあ、でも最近のアイツもなかなか面白いけどな。

フッと笑った俺に香織は「本当にどうしたの?」と怪訝そうな表情を見せた。
「いや、最近の誠がおもしろいなって思って」
俺たちはゆっくりと水族館へと歩き出した。
「誠さん?」
「ああ、あんな余裕のない誠を見たことなかったからなんか新鮮だよ」
そう、誠は莉乃ちゃんへの気持ちを意識しだしたようで、なかなか中学生の様な反応が面白いのだ。
あれだけ女遊びが激しかったのを、ピタリとやめ、いろいろ過去にあった莉乃ちゃんがどうやったら心を開いてくれるか、まるで中学生の様な恋愛をしている。
「誠さんの事を信用しても大丈夫だよね?」
心配そうな香織の頭をポンと撫でて俺はゆっくりと頷いて見せた。

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