ケーキ屋の彼
その頃、海では亜紀と美鈴がはしゃぐ姿があった。
その2人の姿を、椅子に座りながら見ている涼。
ビーチパラソルが太陽の光を遮っている。
「はい」
「ありがとう」
その後ろから、氷の入った飲み物を持った櫻子が現れ、隣の空いている椅子に座った。
「美鈴さんのところに行かなくてもいいの?」
喉が渇いていたのか、涼はお茶を一気に飲む。
「西音寺は、好きな人いないの?」
質問に答えることなく、逆に質問を投げかけた。
「どうかしら」
「西音寺って、なんか不思議だよな。なんていうか……うーん、よく分かんなくなってきたわ」
言葉に表そうとしても、適切な言葉が思い浮かばず笑ってごまかす涼に、櫻子は「不思議なのは涼くんも同じよ」と笑って言い返した。