ケーキ屋の彼
「俺は好きだな、具体的じゃない抽象的な表現。いろんな見方ができる」
櫻子の作品を思い返しているのだろうか、涼は青く澄んでいる空を見つめている。
「あ、ありがとう」
まさか、作品を褒められるとは思っていなかった櫻子は、急な出来事にいつもの冷静さを失う。
そして櫻子は思った、仮に彼が誰を好きであろうとも私は彼が好きなんだと。
「あ、あの……きゃっ」
「冷たっ」
2人が話している最中、美鈴と亜紀は息を潜めて2人に近づいていた。
手に持っているものは、水鉄砲。
2人の話がひと段落するのを見計らい、海水を2人に発射する。
「亜紀ちゃん、許さないわよ〜!」
櫻子は砂浜を走り、亜紀を追いかけた。
波打ち際まで来ると、直接海水を手ですくい、亜紀に仕返しをする。
そこに涼と美鈴も加わり、4人でそれぞれ海水を掛け合った。